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愛と美の女神アプロディーテー ヴィーナスの誕生



2007年過去記事からどうぞ!
ギュスターヴ・モロー 「アフロディテ(アプロディーテー)」


アプロディーテーは皆さんのほうがよくご存知かも。と思いながら記事にしてみました。

ウラノスからの「ヴィーナスの誕生の場面」はこちらで記事にしています。

記事「ボッティチェリ 至福の花々 (サンドロ・ボッティチェッリ)

アフロディーテはクピドの母で三美神を侍女としています。貝殻や海豚(ウーラノスから誕生としている場合)、恋情の帯(ゼウスの子とされている場合)はウェヌスと同一視されるなかで、とくにアフィロディーティーのアトリビュートです。


こちらのモローの「ヴィーナスの誕生」は華やかさがありませんが、これは神話に基づいた作品です。

ヘシオドスの「神統記」によると、「いとも神聖なキュテーラに立ち寄り、次にはキュプロスにたどり着いた。そこで畏くきらやかな女神が海から上がっていかれると、たおやかな御足に柔草が生い育った。」とあります。その場面になります。

The Birth of Venus (La nascita di Venere) by Sandro Botticelli (Galleria degli Uffizi, Florence)

ヴィーナスの誕生 1485年頃 ウフィツィ美術館所蔵
サンドロ・ボッティチェッリ(サンドロ・ボッティチェリ)

ウラノースから誕生したヴィーナスをボッティチェリは描いています。この貝殻にのって、キューテラーに流れていくんですね、実はこのボッティチェリのヴィーナスをモローはそのまま模写しています。

記事 サンドロボッティチェリ&ギュスターヴ・モロー

これが、メディチ家のプラトン・アカデミーで論じられた新プラトン主義。

Allegory of Spring (La Primavera)

春(ラ・プリマベーラ)
クリックで大きくなります。

1482年頃 ウフィツィ美術館所蔵
サンドロ・ボッティチェリ(サンドロ・ボッティチェッリ)

プラトンの「饗宴」にある「清らかな天上の愛」と「卑俗な官能的な愛」を用いられたという2枚のボッティチェリの作品に描かれた地上のヴィーナスと天上のヴィーナス(アプロディーティー)です。


ヴィーナスの誕生 The Birth of Venus

プラトン・アカデミーの新プラトン主義では裸体とは清純・潔白を意味すると解釈をしたようです。



ウィリアム・アドルフ・ブグロー
(William Adolphe Bouguereau)
 1879年 


ボッティチェッリのアプロディーテのように聖像スタイルです。貝殻、海豚が描かれています。ヴィーナス像は慎みのウェヌス(ヴィーナス)とは違いますね。大胆です。

記事 ルドン「ヴィーナスの誕生」

記事  女神アプロディーテー by クロード・ベルランド Claude Verlinde

ウィリアム・アドルフ・ブグローはアカデミズム絵画を代表する画家です。アレクサンドル・カバネルと同時代を過ごし、当時の画壇の中心的な存在。マネらの作品を落選させたのも、この二人ですよ。



1863 Musée d'Orsay



1875 Metropolitan Museum 複製画
アレクサンドル・カバネル(Alexandre Cabanel)


こちらは古代の画家アペレスの描いたアプロディーテのように横たわっています。定着させたのはジョルジョーネ。波間に横たわるスタイルで「ヴィーナスの誕生」を2枚描いているようです。

アペレスの「ヴィーナスの誕生」はこちら
記事 ボッティチェリ 至福の花々 (サンドロ・ボッティチェッリ)



アンリ・ピエール・ピクー
(Henri Pierre Picou)


19世紀の画家、アンリ・ピエール・ピクー(アンリ・ピエール・ピコー)は、アカデミックな画家ですよね。1枚目は「ヴィーナス(ウェヌス)」ですが、誕生にいれてみました。



フランソワ・ブーシェ(François Boucher)


ロココの大巨匠、フランソワ・ブーシェの「ヴィーナスの誕生」です。ブーシェはヘシオドスの神統記、ウエルギリウスのアイネーイスなどから「ヴィーナスシリーズ」を描いています。本当に優雅ですね。ボッティチェリの詩的な優雅さとは一味違うのが、ロココ調。

ボッティチェリはとても楽しい人柄だったようですが、作品の美しさとともに、なにか悲劇が伝わってきます。「ヴィーナスの誕生」にしても、自画像を描きこんだ「東方三博士」からも。どうなんでしょ?


海から上がるヴィーナス Venus Anadyomène ( The Birth of Venus )

 

ウジェーヌ=エマニュエル・アモリー=デュヴァル
(Eugène Emmanuel Amaury Pineux Duval)




1838年
テオドール・シャセリオー
(Theodore Chasseriau)



1848年
ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル
(Jean-Auguste-Dominique Ingres)


 Venus Anadyomène とは「海から上がるヴィーナス」のこと。この形式は濡れた髪をしぼるウェヌスの立ち姿を表したもので、古代彫刻に由来しているそうです。

アペレスの失われた絵画作品のひとつで、その起源をもつとされている、ウェヌスの様式のひとつです。

ギュスターヴ・モローの2枚目の作品とおなじく、漂着した島でのこと。

テオドール・シャセリオーは、ギュスターヴ・モローに影響を与えたともいわれている人。ウジェーヌ=エマニュエル・アモリー=デュヴァルもテオドール・シャセオリーと同じくアングルと師弟関係になります。


ルネサンスのヴィーナス The Renaissance of Venus



1877年 The Renaissance of Venus
ウォルター・クレイン(walter crane)


こちらはウォルター・クレインの作品。「ルネサンスのヴィーナス」というタイトルです。海から上がるヴィーナスの形式によく似ている「ディアナの入浴」もウォルター・クレインは描いています。

記事  walter crane  古代の英国庭園から
こちらはウォルター・クレインの「古代英国庭園」の挿絵を表紙を含めて50枚ほど物語にそって掲載しました。ストーリー性がつかめない物語と挿絵を独自の解釈で記事にしました。


アフロディーテ、ヴィーナス(ウェヌス)の絵画形式

ウラーノスから誕生したというアフロディーテには、神話(ヘシオドスの神統記)からの「ヴィーナスの誕生」、「海から上がるヴィーナス」の形式があります。

ウラーノス、ゼウスどちらからの誕生に限らない愛と美の女神ヴィーナスの形式に、「聖愛と俗愛」、「ウェヌスとバッコスとケレス」、「ウェヌスの勝利(ウェヌスの凱旋)」、「ウェヌスの化粧」(横たわるウェヌス)があります。

記事 鏡のヴィーナス(ウェヌスの化粧)

ヴィーナス(ウェヌス)の神話の形式には「ウェニスとアドニス」、「ウェヌスと薔薇」、「ウェヌスとマルス」、「ウェヌスとアキンセス」があります。



アントワーヌ・ヴァトー パリスの審判


ホメーロスの「イーリアス」には「パリスの審判」がありますね。トロイア戦争の発端となる唯一ただ一人の美神の審判。

記事 ルーカス・クラナッハ 七つの「パリスの審判」
記事 パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと
記事 アエネーイスから アイネイアースと母ヴィーナス
そしてクピドとヴィーナス(ウェヌス)もよく描かれていますね。
記事 ヴィーナスとクピド
記事 プラトン 「饗宴」 アプロディーテーの裏話
  ↑ ルーカス・クラナッハのヴィーナスとクピドです。

面白いものにクピドとヴィーナス、そしてメルクリウスが描かれている作品があります。



Venus with Mercury and Cupid
 ('The School of Love')
コレッジョ  (Antonio Allegri da Correggio)


この作品のほかにも、この3人が描かれているものがあるようですが、ヘルメス(メルクリウス)とアフロディーテの子はエロスではなく、「ヘルムアプロディテ(ヘルマフロディトス)」という両性具有になってしまった美少年らしいです。

記事 プラトン 「饗宴」 アプロディーテーの裏話
さてウェルギリウスの「アイネーイス」から「アエネアースに武器をわたすヴィーナス」があります。アンキーセースとヴィーナスの息子アエネアース。

記事 アエネーイスから アイネイアースと母ヴィーナス
「イーリアス」、「ホメーロス風讃」第5歌の「アフロディーテー讃歌」、アポロドーロス(Apollodoros)の「ギリシャ神話」、ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス(Gaius Iulius Hyginus)の「神話集」にはヴィーナスの登場する場面が書かれています。

また、オウィディウスの祭暦からはウェネラリア祭があり「ヴィーナスの饗宴」がその形式にちかいものです。ヴィーナスの添え名のひとつウェヌス・ウェルティコルディアを祀るものです。

詳しくはこちら
記事4月の寓意 オウィディウス「祭暦」 から
4月1日にはウェヌスの宵祭りがあり、3日3晩お祝いするようです。4月15日と21日には「Festival of Venus(ヴィーナス祭)」があります。そして23日に「Vinalia Prioria to Venus」があるようです.


アフロディーテ
美と愛の女神アフロディーテ

「イーリアス」では
ゼウスとディオーネの娘となっているアフロディーテ。

ゼウスの妃ヘーラーはたびたび義理の娘アフロディーテを訪ね、「恋情の帯」を借りていたといいます。「恋情の帯」とは対する人々が恋せずにはいられないという素敵な帯。



アンリ・ピエール・ピクー
(Henri Pierre Picou)


プラトンの「饗宴」では、このアフロディーテが祀られている神殿にちなんだ「ウーラーニアー」、「パンデーモス」のそれぞれの信仰から、「清らかな天上の愛」、「卑俗な官能的な愛」に用いられたのではないかといわれています。

彼女の崇拝は
「美と愛(美と愛欲)の女神」ですが、天地万物の創造者としての愛のようです。薔薇や桃金嬢、若葉の冠で飾るのは、春と豊饒の女神として祀っていたといわれています。ここが女神フローラと同じですよね。


アフロディーテの愛人たち
知らないで娘のズミュルナと交わったキニュラース。のちにアフロディテが恋するアドーニスはこの二人から誕生するのですが、代々キニュラースの家系はアフロディテを信仰する家系。

その家系のひとりが最初のアフロディテの最初の愛人。

その愛人のキニュラースは東洋的な柔媚を装い、南国の甘い薫りを漂わせ、官能的な音楽に浸されていたといわれている人。

そしてパエトーン。アドーニス同様悲惨な死を迎えます。

さらにアンキーセース。このときにアフロディテは子を産みます。ウェルギリウスの「アイネーイス」で紹介したアエネアース。そしてリュロス、ヒッポダメイアがいます。

ヘーパイストス(ヘパイストス)の妻だったアフロディテはマルス(アレース)との火遊びの現場を夫にみられ神々の笑いものにされる場面が絵画作品になりますね。

ヴィーナス(ウェヌス)とマルス(アレス)を夫婦としている説もありますが。次の作品は夫へパイストが妻ヴィーナスとマルスの不貞を威嚇している場面。



マンテーニャのパルナッソス 1497年


3人のほかには、パルナッソスにふさわしいアポロンとムーサたち。そしてペガサスの馬といっしょにヘルメス(メリクリウス)がいます。

マルスとヴィーナスの子はエロス(クピド)を生んだとされるポポス、ディモス、ハルモニアー。

アンキセースとヘーパイストスは、楓は同一人物と勘違いしていた時期がありました。

ヘーパイストスの妻はアフロディテのほか、カリス(三美神)の一人、アグライアーがいます。

このマルス(アレース)とアプロディテーの火遊びの場面で、へーパイストがアフロディテに恋していたヘルメスにその二人を笑いもので見せるのです。エロス(クピド)がこの二人の子とされていますが、クピドは最も古い神だそうです。

マルスの後釜にでもといわれ、ジョークでお断りをしたヘルメス(メリクリウス)ですが、先にご紹介したとおり、ヘルメス(メリクリウス)との間にはヘルムアプロディテ(ヘルマフロディトス)がいますね。

こうした異性関係が、娼婦(遊女)の信仰の女神として祀られたのでしょうか。


ケレスとバッコス、ヴィーナスの三位一体
「ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍えてしまう」
ヒエロニムス・ボッシュ(ボス)が描いた「暴食と色欲の寓意」にも、テレンティウスの戯曲宦官(Eunuchus) から「ケレス(パン)とバッコス(ワイン)がいないとヴィーナスは凍えてしまう」が引用されてるようです。

「宦官」にそんなところあったかしら?と思っているんですけど・・・。今度探して読んでみますね。

ボッシュは空のワインの大樽のうえに大食の男性と、テントの卓上の恋人たちがえがかれている寓意画ですが、ルーベンスは擬人像ではなく、ケレスとバッコス、ヴィーナスの三位一体で描いています。



Haecht Goidtsenhoven
ジェラール・ド・ホセ (Gèrard de Jode)

このテレンティウスの引用は フランドルやネーデルランド、ルネサンス期のイタリアをはじめ、絵画だけではなく、いろいろな詩や文学、格言などにも引用に使われたようで、元々がテレンティウスということでしょうか。

ジェラール・ド・ホセの挿絵だと思われるこの1冊に、その引用句が下にあるのです。これは1600年頃?の出版になると思います。

テレンティウスの戯曲の一節は、箴言となって戒めの言葉としてさかんに使われるようになったんですね。



凍えるヴィーナス ルーベンス 1615年


「Without Ceres (bread) and Bacchus (wine) Venus freezes」(パンとワインがなければその愛も醒めてしまう」という寓意画です。だからヴィーナスは凍えているのですね。

ケレースとバッコスがいないと、ウェヌスは凍える。
食べ物と酒なくしては愛も冷える。

「ケレス(パン)とバッコス(ワイン)がいないとヴィーナスは凍えてしまう」は、現代感覚では「お金がなければ愛も褪めてしまう」というところ。

「愛だけでは生きていけない」という格言にもなるのでしょうか。(笑)



 Venus,Cupid,Bacchus and Ceres 1612-13
by ルーベンス(Peter Paul Rubens)


オウィディウス「祭暦」 には、ヴィーナスの祭で4月がはじまり、終わりから5月にかけて、フロリア祭(花の女神フローラ)がありますが、ちょうどその中間に祝祭ケレーアーリア (Cerealia) がおこなわれるのです。古くは4月19日の祭典は、 紀元前3世紀末以降に、 4月12日からの8日間にわたって行なわれるようになります。

豊饒の女神ケレスのお祭りはサーカスに戦車の競技なども繰りひろげられ、ウェヌス祭同様にミルクと蜂蜜、そして最後にワインが供物として捧げられたよう。

バッコス祭はこちら
記事 モーリス・ドニ バッカス祭
この三人が象徴するものが揃って、はじめて人生の喜びを得られるということなのでしょうか。
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