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ボッティチェリ 至福の花々 (サンドロ・ボッティチェッリ)

ヴィーナスの誕生 1485年頃 ウフィツィ美術館所蔵
サンドロ・ボッティチェッリ(サンドロ・ボッティチェリ)

ウェヌスの誕生、あるいはヴィーナスの誕生といわれているサンドロ・ボッティチェッリの、1485年の作品。皆様もよくご存知ですね。
このボッティチェッリのヴィーナスの誕生を、ギュスターヴ・モローが模写しています。こちらからご覧ください。

サンドロ・ボッティチェリ & ギュスターヴ・モロー
過去記事ギュスターヴ・モロー 「アフロディテ」もどうぞ 
ルドン 「ヴィーナスの誕生」もご覧ください。
2010年記事「Sandro Botticelli ボッティチェッリ

ヴィーナスの誕生の場面

さて、ホメロス讃歌として伝承された「アフロディテ讃歌」をもとに描いたという一説がありますが、はたしてそうなのでしょうか。

ギリシャ、ローマ神話が好きな方ならすでにご存知のとおり、ヘシオドス 神統記にもある誕生のシーンには、「ウーラノスの去勢」です。

ガイアの息子であり夫でもある(近親相姦ですね)天空神ウーラノスは醜怪なキュクロープスたちを幽閉します。ガイアは怒り、子の一人クロノスにウーラノスの男性器を切り落とさせたんですね。

鋸のような刃がついた鎌を執り
父の性器を恐ろしくも切り取る
波間に投げ込むや
白い泡が不死なる肉塊から湧きあがる
そこから一人の女神が誕生した
畏怖するほどの美しい女神が上陸すると
その足元には草花が茂る
その女神を泡から生まれたアプロディーテーを
キュプリスのキュテレイアと
神も人もそう呼んでいる
ヴィーナスを開く―裸体、夢、残酷 by ジョルジュ ディディ=ユベルマン「天上のヴィーナスは天の去勢から生まれ、海と血と精液の混じり合う混沌の渦こそが美の源泉となっている。」

「ヴィーナスを開く」―裸体、夢、残酷 
ジョルジュ ディディ=ユベルマン著
書評 伊藤俊治氏(東京芸術大学教授)より引用

同時代の詩人アンジェロ・ポリツィアーノの詩篇ですが、フィレンツェの黄金時代を支配した、メディチ家の擁護にあったボッティチェリは、1475年のメディチの馬上槍試合で、ジュリアーノ・デ・メディチの「旗」をデザインします。一方、アンジェロ・ポリツィアーノは、「ジュリアーノ・デ・メディチの馬上槍試合のためのスタンツェ」を創作します。


この薔薇に関しては
Sandro Botticelli's Rose ボッティチェッリの薔薇 ヴィーナスの誕生の庭へ

アプロディーテの記事は
愛と美の女神アプロディーテー ヴィーナスの誕生
プラトン 「饗宴」 アプロディーテーの裏話


アンジェロ・ポリツィアーノ ラ・ジォストゥラ

そのアンジェロ・ポリツィアーノの九十九節は、ヴィーナス誕生の詩です。

波立つエーゲ海
胎内のティターンにより 天の神の陰部は去勢され
星辰がいくたびか廻る間に 白い泡に包まれて 波間に漂う
そこに喜びの瞬間が訪れる 人とは思えぬほどの乙女が誕生し
淫らなゼフュロスに吹かれるまま 貝殻に揺られて 岸へつく
天もこれを喜ぶかの如く

ヘシオドスの神統記と変わりませんね。ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」は、こうしたいくつもの類似性をもつ伝承から誕生したのではないでしょうか。

愛の勝利の薔薇を放つ花の女神フローラ。抱きかかえているのは西風のゼフィロス。そこからそよぐ風は、ヴィーナスを岸に導きます。右には美しい花の刺繍のローブをヴィーナスに羽織らせようとしている、時と季節の神ホーラです。ボッティチェリの花には、金刺繍が施されたごとく薔薇が描かれています。

この「ヴィーナスの誕生」は、ご存知のように「春(ラ・プリマベーラ)」と対といわれています。そしてもう一枚のボッティチェリの作品と、三枚揃って装飾されたといいます。


最も古い壁画 宮廷画家アペレスのアフロディテ・アナデュオメネ

さてヴィーナスの誕生で古典とされている絵画作品です。

「Venus Anadyomene」
障壁画「 アフロディテ・アナデュオメネ」 by アペレス

アレクサンダー大王の宮廷画家アペレスの「Venus Anadyomene アフロディテ・アナデュオメネ」(海から上がるアフロディテ)が描かれた、ポンペイの障壁画。これをモチーフにしたものが、アフロディテ・アナデュオメネ 様式といわれ、ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」、ティツィアーノ「アフロディテ・アナデュオメネ(海から上がるアフロディテ)」、アーノルト・ベックリンアングル「アフロディテ・アナデュオメネ(海から上がるアフロディテ)」、ウィリアム・アドルフ・ブグロー「ヴィーナスの誕生」、テオドール・シャセリオー「アフロディテ・アナデュオメネ(海から上がるアフロディテ)」などがあげられるようです。
この「天上のヴィーナス」を描いた「ヴィーナスの誕生」は、メディチ家のロレンツォ豪華王の一族、通称 ロレンツィーノ(分家)が依頼したものと仮定して。


ボッティチェリ 豊饒の擬人像 コンデ美術館

その「ヴィーナスの誕生」を依頼したロレンツィーノ自身(分家)が、花言葉とともに「春(ラ・プリマベーラ)」に描かれてますね。そのまえに、ボッティチェッリの他の作品もご紹介しましょう。


Automne ou Allégorie contre l'abus du vin(1490-1500)

?「酔い 果実酒の寓話」?
「豊饒の擬人像」でした。

ワインの飲みすぎを忠告する寓意画?果実を頭にのせた女神は、ローマ神話の果実・結実の女神フルクテスカ、ローマの果実と果樹との女神ポーモーナ、すべてのものをお酒に変える力を持つという伝説の女神オエノ、そしてワインの神バッカスと同一とされる女神 シレニーなどと、想像がふくらみます。
ギリシャ神話でイオス(エオス)、ロシア神話ではアウローラ(オーロラ)と呼ばれる「夜明け(黎明)の女神」でしょうか。最近、ワインのネーミングにも使われていますね!
Quando la pera è matura, casca da sè.(イタリア諺)
梨は熟すと自ら落ちる。

ボッティチェリの作品は「Automne ou Allégorie contre l'abus du vin」はフランス語のタイトルを引用していますが、Automneは落ちる。イタリア語の諺の「casca」も落ちるですよね。

「ワインに溺れると自ら落ちる。」
そう、ボッティチェリは忠告しているのでしょうか。

花は酔いのクピドの胸元を飾り、主役は果実。葡萄は復活。りんごは禁じられた愛。二人のクピドは「悦楽」の寓意像なのでしょうか。タイトルのワインが葡萄酒を示すのであれば、聖体である血や生け贄を意味します。つまりキリストの血。

女神が手をひくクピド(キューピッド)は、地に足がついているのか、いないのか。「酔い」がまわった小さなクピド。まるで「小さな樽」という意を含むボッティチェリのようです。

2010年追記
この女神が手をひくクピドはさくらんぼが首と足元に。これはメディチ家の紋章の赤玉を象徴しているのではないでしょうか!

キリストとメディチ家を対比させているのかなって。気になるのがキリストの血を象徴するクピドに絡む蛇。1490年以降から1500年頃の作品で、ロレンツォ豪華王がなくなりサヴォロラーナによってメディチ家を追放、サヴォロラーナものちに処刑されるという10年間のいずれかに制作された作品。
2010年追記
果実を詰め込んだ籠ですが、ボッティチェリの「東方三博士の礼拝」が最初にあったサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のトルナブオーニ礼拝堂の壁画(ギラルダイオ作)に、そっくりなモチーフの女性が描かれています。「システィーナ礼拝堂」では神聖な薪を頭に。

記事「サンタ・マリア・ノヴェッラ トルナブオーニ礼拝堂のメディチ家

記事「サンドロ・ボッティチェリ Sandro Botticelli システィーナ礼拝堂
それではボッティチェリの多くある聖母子から1枚ご紹介します。皆様もよくご存知の作品かと。


ボッティチェリ カテリーナ・スフォルツァの聖母

La Vierge à lEnfant avec anges chanteurs 1477年

聖母子と八天使 1477年
ラクツィンスキーの聖母 国立絵画館
(カテリーナ・スフォルツァが聖母)

カテリーナ・スフォルツァに関しては
記事「Sandro Botticelli サンドロ・ボッティチェッリ
記事 カテリーナ・スフォルツァ(Caterina Sforza)の謎 ボッティチェッリ プリマヴェーラから
1490-1500年の10年に及ぶ制作は、ボッティチェリの最大のパトロンであるロレンツォ・デ・メディチが死去する2年前からはじまりますが、1480年代後半から、ロレンツォ・デ・メディチの政策は、社会不安をひろげていきます。ロレンツォ・デ・メディチの「冬」とともに、ボッティチェリも翳りがみえてきます。この時代に描かれたボッティチェリの作品には、「柘榴の聖母」、「受胎告知」などがあります。美しいのですが、なにか苦悩や陰鬱な表情がみえてくる作品。


ボッティチェリ「ヴィーナス」(ボーデ博物館) 三つ編みのヴィーナス

左「ヴィーナス」、右「恥らうヴィーナス」

「ヴィーナス」(1485年頃),「ウェヌス(ヴィーナス)・プディーカ」
右の手で髪を押え、もう一方の手でそのうるわしき果実を覆って
「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスだけを黒地の背景に描いたボッテチェリの工房作。左は三つ編みのヴィーナス。右は薔薇と透き通るような布。

気になるのはボッティチェッリのヴィーナスは、いずれもウェヌス・アナデュオメネ(Venus Anadyomene, 海より出づるウェヌス)の形態を示していることです。

プラトンの「饗宴」にでてくる両性具有の第三の性。アプロディーテー(ウェヌス)とヘルメス(メリクリウス)の子で両性具有のヘルムアプロディテ(ヘルマフロディトス)を象徴しているようにも見えます。
記事 「プラトン 「饗宴」 アプロディーテーの裏話

宮廷画家のようなボッティチェリ。ボッティチェリの作品は、ロレンツォ・デ・メディチがパトロンとなってから、「表」にでたことがあったのでしょうか。メディチ家の衰退は、ボッティチェリの作品を埋もれさせることにもなります。

「人はパンのみに生きるにあらず、町にサーカスを」という古代ローマの政策が、ロレンツォ・デ・メディチ一族の言葉でもあり、市民から支持された政策でした。

そのフィレンツェで、ボッティチェリになにがあったのでしょう。メディチ家一族の擁護にもあったボッティチェリ。官能的な絵画作品を焼き払う反メディチの修道僧ジローラモ・サヴォナローラを支持します。ボッティチェリの作品も炎のなかで灰になる。


La Primavera 「プリマヴェーラ(春)」  結婚式の贈り物説で

最後のご紹介は、こちら。

Pallade e Centauro
写実的な植物画を、画家たちが描きだした頃よりもはやく、ボッティチェリは作品の中で、植物を象徴する意味とともに描いていたのですね。

「プリマヴェーラ 春」は数百の花と花言葉を添えて、メディチ家を描いたもので、結婚の贈り物とされた作品といわれている説があります。

クラウディウス・クラウデイアヌス(ClaudiusClaudianus)の「皇帝ホノリウス 祝婚歌」をも思い起こさせます。

その他の説、ダンテ説はこちら
記事 ボッティチェリ La Primavera 「プリマヴェーラ(春)」  ダンテの神曲の楽園説

繁る木々には、メディチ家の象徴 オレンジの実。「結婚」を意味しています。贈り主であるロレンツォ・デ・メディチの名を、二本の月桂樹(ローレル)があらわし、西風ゼフィロスが、そのローリエの木の間から、妖精クロリスを捕らえます。

クロリスの足元に描かれているのは、「愛に導く」という花言葉の待宵仙翁。そのクロリスの右横には、彼女の結婚に贈られた「アイリス」が描かれています。ゼフィロスとクロリスの神話が、ここに描かれているのです。

花の女神フローラが編み上げた花冠。オウィディウス「祭暦」 の描写がある場面が、フローラが花冠を手にすると「春の女神プリマヴェーラ」へと変身するところ。

記事 4月の寓意 オウィディウス「祭暦」 から

花冠を頭にのせたフローラの変身後の姿がここに描かれ、「結婚による結びつき」をあらわしているクロリスの口元のヒメツルニチソウは、「春の女神プリマヴェーラ」となったフローラのローブへとつながり、愛の勝利の「薔薇」に変身します。これは、クロリスが結婚後に「女神フローラ」に変身したことをあらわしています。

ボッティチェリの描いた女神たちの諸説といわれていますが、ギリシャ・ローマ神話、変身物語などの古典、ホメロスヘシオドスの古代の口承、詩や物語、そしてプラトンをはじめとする古代の思想などからも理解できますね。

Allegory of Spring (La Primavera)

春(ラ・プリマベーラ)
クリックで大きくなります。

1482年頃 ウフィツィ美術館所蔵
サンドロ・ボッティチェリ(サンドロ・ボッティチェッリ)

ロレンツォが、この「春」を、誰の結婚の祝いに贈ったのかが、クピドどヴィーナス、三美神とメルクリウスによってあらわしています。

愛と美を象徴する地上のヴィーナスが治める王国の「春」。「ヴィーナスの誕生」にみられる天上のヴィーナスは生殖と聖愛を象徴し、地上のヴィーナスは世俗と恋愛を象徴しています。その地上のヴィーナスの頭上で、クピドは「愛の炎」の矢を、三美神の中央にいる、純潔(貞操)の女神で開花を象徴するタレイアに向けています。

エロス(クピド)やウェヌスはプラトンの「饗宴」でも語られています。

記事 「プラトン 「饗宴」 アプロディーテーの裏話
このタレイアこそ花嫁セミラミデ。左端のメルクリスは、メディチ家一族である通称 ロレンツィーノです。この作品は、花婿ロレンツィーノ(ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチ)と花嫁セミラミデ・アッピアーニへの贈り物ということなのですね。
三美神の配置と彼女達の名前、その象徴は、こちらの記事からご覧いただけます。

三美神 Yves Saint-Laurent
ちなみに「ヴィーナスの誕生」を依頼したのではなかというロレンツィーノ説もあります。


馬上槍試合同様に、アンジェロ・ポリツィアーノは、「ラ・ジォストラ」を創作します。そして絵画は、ボッティチェリが描きます。

馬上槍試の詩とヴィーナスの誕生、このラ・ジォストラと春は、ボッティチェリの2点の作品の成立に必ず言及されているようですが、ボッティチェリの作品解釈に好都合な内容で、詩と絵画の同時代性を認めるものの、はたして「詩」をそのまま「絵画化」するだろうかという説にも頷けます。

【参考:NHK世界美術館紀行 (3) NHK「世界美術館紀行」取材班】


新プラトン的寓意画 パラスとケンタウロス


ミネルヴァ(パラス)とケンタウロス 1482年頃
ウフィッツィ美術館所蔵

永遠に処女とされ、戦略、そして知恵と諸学芸を司り、アテナと同一視される最高の女神ミネルヴァが、好色のケンタウロスの頭上に手をかざしています。これは理性が肉体を支配していることをあらわし、性愛に対する貞節の勝利を象徴しています。新プラトン主義だといわれています。

ミネルヴァの服飾模様は、ロレンツォ・デ・メディチ(ロレンツォ・イル・マニフィコ)の紋章で、ナポリ戦争(1478〜80年 のちのイタリア戦争)の寓意ともいわれています。

もうひとつの解釈は、ロレンツィーノ(ピエルフランチェスコ・デ・メディチ)のために制作されたという説。プリマヴェーラ、ヴィーナスの誕生でもロレンツィーノ所有とした私として、この記事ではこちらの説を。

作品ではメディチ家の紋章はダイヤモンドの指輪が3~4と組みあわさっています。そして「誠実」と「結婚」を象徴する蔦がパラスの頭とケンタウロスをつかむ右腕にからんでいます。

不思議です。

もしプリマヴェーラとヴィーナスと3枚が連画の結婚の贈り物とすると、ふさわしいですか?このパラスとケンタウロスは・・・。

このミネルヴァ(パラス)とケンタウロスが、ロレンツィーノのカステッロ荘に「春(ラ・プリマベーラ)」と迎え合わせにかけられていたといいます。

「ヴィーナスの誕生」は、「春」の対幅として、ロレンツィーノがボッティチェリに依頼したものとされています。

作品でのもうひとつの説は平和の象徴で、さきにも書いたようにダイヤモンドリングの文様はこの説ですとロレンツォ・イル・マニフィコの文様とされているため、パラスに見立てたフィレンツェが、法王に見立てたケンタウロスを屈服させているともいわれています。

どちらにしても戦争や平和で相手を屈服させる作品なら、蔦の花言葉は「誠実」になりますね。

新プラトン主義に貫かれた作品だとして、人間の知性を象徴するパラスが野獣の本能のケンタウロスを制御している、つまりプラトン・アカデミーの象徴なのかもしれません。


ボッティチェリ 聖母子

The Virgin Adoring the Sleeping Christ Child<br />
1490年頃 National Galleries of Scotland

「眠る幼子キリストを崇拝する聖母」1490年頃

スコットランド近代美術館

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William STOTT (ウィリアム・ストット)の「The Birth of Venus(ヴィーナスの誕生)」(1887)、Steer, Philip Wilson (フィリップ・ウィルソン・スティア)の「Toilet of Venus (ヴィーナスの化粧)」(1898)があることを記録。
| サンドロ・ボッティチェッリ | 00:00 | comments(11) | trackbacks(13) | pookmark |
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コメント
わあーぁ !
力作でしたねぇ。
この辺りは、うとくて何も言えないのが残念です。

500年前の絵にしては、色がとても鮮やかで、驚かされました。
| とーし | 2007/03/01 6:20 PM |

>500年前の絵にしては、色がとても鮮やかで、驚かされました。

ダ・ヴィンチも同じヴェロッキオ工房で、同じ時を過ごした二人ですが、色がとても鮮やかに描いているのは、サンドロ・ボッティチェリでしょうか。

なんだか、絵画作品に傷をつけず、洗えるようになったために、ボッティチェリの作品が、1980年代に蘇って、春(ラ・プリマベーラ)に描かれている花々が、図像学に基づいた貴重なものだといわれています。

「絵画作品に傷をつけず、洗えるようになった」って、凄いことだと思うのです。「ノーベル賞」授与されてもいいくらいの、文化的貢献だと。誰が考えたんだろうと・・・。
| 楓 | 2007/03/03 11:00 PM |

>「絵画作品に傷をつけず、洗えるようになった」って、凄いことだと思うのです。「ノーベル賞」授与されてもいいくらいの、文化的貢献だと

私もそう思います。
ロボトミー手術を考案した人がノーベル賞貰ったそうですから、それならコッチのほうがズット偉いですよね。
| とーし | 2007/03/04 8:37 PM |

>ロボトミー手術を考案した人がノーベル賞貰ったそうですから

なんだか、取り消し運動というのがありましたね!どうなったんでしょう。ロボトミー手術の後遺症がこわいですよね。

>コッチのほうがズット偉い

後遺症もなく、誰ひとり、作品ひとつ傷つきませんものね。

この以前は、修復で色なんかが変わってしまってるらしいですね。

私たちが見ている作品のどのくらいが、変化しているのでしょうか。

作品も風化するのは当たり前ですが、1960年代と現在の美術書を見比べると、だいぶ違うものもあるんですよねぇ。写真、印刷の技術もあると思うんですが・・・。

やっぱり本物をみるに限りますね。
| 楓 | 2007/03/04 9:20 PM |

はじめまして。
marimoと申します。

素敵な絵画の数々、そして
華やかな色彩に包まれた
美術の視線がとても魅力的です。

素敵なブログに出会えたと
嬉しく思います。

私もボッティチェリの記事を書いたので、
TBさせていただきます。
気が向いたときに遊びにきてください。

これからもこちらに遊びにこさせて
いただければ幸いです。
どうぞ宜しくお願いいたします。
| marimo | 2008/02/13 9:37 PM |

私もボッティチェリが大好きで、バッハのゴールドベルク変奏曲にあわせて、ホームページにしています。特に
http://www.geocities.jp/imyfujita/goldberg/part12.html
このぺーじでは、ヴィーナスが21世紀にやってきます。
| 藤田伊織 | 2008/09/14 6:08 AM |

油絵は唐の漆絵に始まると聞きます。ボッティチェリは草花を描いた初めと聞きますので、漆絵を見ていたのででしょうか。
レオナルドは水墨画を見ていると聞きます。風景画はレオナルドに始まるのでしょうか。ルネサンスの背景に中国の影響があったのでしょうか。マルコ・ポーロが元に入ったのは200年ほど前ですから。
| 石山みずか | 2009/01/11 4:58 PM |

プリマベーラはギリシャ神話から理解できるように思います。右端のゼフィロスはエロスに頼まれてプシュケーを運んできたところで、ヴィーナスが美しすぎる彼女を嫌っていますが、エロスとの幸福が確実に約束されています。キューピッドは目隠ししていますから、女性はこの絵の前にどんな男を連れてきても炎の矢で射てくれるので、必ず幸福に結ばれる、それはエロスとプシュケーが保証してくれています。というように見えるのですが。
| 石山みずか | 2009/01/18 7:00 PM |

marimo さんこんにちは。

「人はパンのみに生きるにあらず、町にサーカスを」というメディチ家一族の言葉が好きで、自分もそうありたいと思います。

marimo さんの記事にありました薔薇の冷茶、「ムッシュジュェリー」という芍薬は、わたしの「サーカスを」という感性に触れるのです。

生きるための衣食住から喜びや美しさを満たされるライフスタイルがわたしの「サーカスを」です。

芸術、音楽、読書、観劇、鑑賞のほか、好きなものに囲まれての生活。花、インテリア、家族、友人です。

ただただ女神の美しさ、可憐な花々に感動します。

そうしてこの作品を描いた画家はどういう人で、ほかにどんな作品があるのかな、という関心。

特別な知識がない私ですが、ご訪問のほかに「素敵」という一言がたいへん嬉しい!

marimo さんのボッティチェリは、楓よりずっと知的な記事で、もっとお勉強します。

ちなみに2年間、体調を崩し、食事が制限されてから、最近は「サーカスよりパンを」という暮らしに憧れます。
| 楓 | 2009/07/15 3:57 PM |

石山みずか さん、こんにちは。

>油絵は唐の漆絵に始まると聞きます。ボッティチェリは草花を描いた初めと聞きますので、漆絵を見ていたのででしょうか。

マイセン陶磁器は柿右衛門を写しているように、ボッティチェリが漆絵を模写することもあったのかもしれませんね。

ルネサンスの背景に中国の影響とありますが、あのブーシェはシノワズリの作品も描いていますから、オリエンタリズムはたいそう以前から親しまれていたのでしょうね。

ちなみにブーシェのシノワズリのタペストリーも好きなんです。

楓はそういう背景や歴史に無頓着ですが、そういったこともお勉強しようかなと石山さんのコメントで思いました。

陶磁器やほかの時代の作品、読書などからの雑学しかないんですよ。私は。うふふ(笑)

美しいもの、可憐な花、繊細なレース、眩いお宝、アンティークな家具、こなれた陶磁器、古典や神話が大好きで、ただただそれだけで好きなものを集めています。

>右端のゼフィロスはエロスに頼まれてプシュケーを運んできたところで

クピドとプシュケを題材にした作品は多いですよね。ルネサンスではなくナビ派の一人のモーリス・ドニもこの作品を七連作で描いています。

http://kafka.arekao.jp/entry-8275bd13274d04315a727ce1baf9fcf1.html

またムハ(ミュシャ)もパネル(屏風)などにゼフィロスを描いていた記憶があります。

クピドとプシュケのストーリーで、それぞれ作家がいろんなシーンを取り入れていますが、「美しきプシュケに矢を射ようとするクピド」だったり、「ヴィーナスの復讐 冥界の箱をあけ眠りに陥るプシュケ」だったり。

そういうふうに神話と並行して、いろんな作品と出会うのが大好き。

>キューピッドは目隠ししていますから、女性はこの絵の前にどんな男を連れてきても炎の矢で射てくれるので、必ず幸福に結ばれる、それはエロスとプシュケーが保証してくれています。

わたしもその矢で射られたかったですぅ。
「どんな男を連れてきても必ず幸福に結ばれる」

これは結婚という形をとる男女ならそう願いたいものですよね!
| 楓 | 2009/07/15 4:20 PM |

藤田伊織さま

HPも拝見させていただきました。

とってもみごたえあり、お勉強にもなり、わからないところもありです。

バッハのゴールドベルク変奏曲って、ハンニバルレクターの好きな曲でしたよね。

とにかく藤田伊織さんの感性と完成が楓にない、その知性と理性と理論に憧れます。

楓は、もっとお勉強します。

藤田伊織さんというお名前にもすごく惹かれました。
| 楓 | 2009/07/23 11:58 PM |

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